高名の木登り 現代語訳 品詞分解 | STUDY POINT~高校授業編~

高名の木登り 現代語訳 品詞分解

古典(現代語訳 品詞分解)

高名の木登り








高名の木登りといひしをのこ、人を掟てて、高き木に登せて梢を切らせしに、いと危ふく見えしほどは言ふこともなくて、降るるときに、軒たけばかりになりて、「過ちすな。心して降りよ。」と言葉をかけはべりしを、「かばかりになりては、飛び降るとも降りなん。いかにかく言ふぞ。」と申しはべりしかば、「そのことに候ふ。目くるめき、枝危ふきほどは、己が恐れはべれば申さず。過ちは、やすき所になりて、必ずつかまつることに候ふ。」と言ふ。あやしき下 臈なれども、聖人の戒めにかなへり。鞠も、難きところを蹴いだして後、やすく思へば、必ず落つとはべるやらん。
(第一〇九段)

現代語訳

有名な木登りと(世間の人々が)いった男が、人を指図して、高い木に登らせて梢の枝を切らせたときに、たいへん危うそうに見えたときは(何も)言わないで、降りるときに、(家の)軒の高さぐらいになって(はじめて)「間違いをするな。気をつけて降りろ。」と言葉をかけましたので、(私は)「これぐらい(の高さ)になって(からで)は、飛び降りてもきっと降りることができるだろう。どうしてそのように言うのか。」と申しましたところ、(木登りは、)「そのことでございます。
目がまわり、(細くて)枝があぶない間は、自分が恐れておりますから(注意の言葉は)申しません。間違いは、(降りるのが)やさしい所になって、必ずしでかすことでございます。」と言う。
(この木登りは、)身分の低い者ではあるが、(その言葉の内容は)中国の聖人の教えに一致している。蹴鞠も、難しい(落としそうだという)所を(うまく)蹴り出した後に、(もう)安心だと思うと、必ず(蹴りそこなってしまって、鞠が)落ちると申すようです。






品詞分解

高名形動(ナリ・語幹)
の 格助(連体修飾)
木登り 
と 格助(引用)
いひ 動(ハ四・連用)
し 助動(過去・連体)
をのこ、 
人 
を 格助(対象)
掟て 動(タ下二・連用)
て、 接助(単純)
高き 形(ク・連体)




木 
に 格助(対象)
登せ 動(サ下二・連用)
て 接助(単純)
梢 
を 格助(対象)
切ら 動(ラ四・未然)
せ 助動(使役・連用)
し 助動(過去・連体)
に、 格助(時間)
いと 
危ふく 形(ク・連用)
見え 動(ヤ下二・連用)
し 助動(過去・連体)
ほど 
は 係助(提示)
言ふ 動(ハ四・連体)
こと 
も 係助(強調)




なく 形(ク・連用)
て、 接助(単純)
降るる 動(ラ上二・連体)
とき 
に、 格助(時間)
軒たけ 
ばかり 助(程度)
に 格助(結果)
なり 動(ラ四・連用)
て、 接助(単純)
「過ち 




す 動(サ変・終止)
な。 終助(禁止)
心し 動(サ変・連用)
て 接助(単純)
降りよ。」 動(ラ上二・命令)
と 格助(引用)
言葉 
を 格助(対象)
かけ 動(カ下二・連用)
はべり 動(ラ変・連用)
し 助動(過去・連体)
を、 接助(順接確定)
「かばかり 
に 格助(結果)
なり 動(ラ四・連用)







て 接助(単純)
は、 係助(提示)
飛び降る 動(ラ上二・終止)
とも 接助(逆接仮定)
降り 動(ラ上二・連用)
な 助動(強意・未然)
ん。 助動(推量・終止)
いかに 
かく 
言ふ 動(ハ四・連体)
ぞ。」 係助(強調)
と 格助(引用)
申し 動(サ四・連用)
はべり 動(ラ変・連用)
しか 助動(過去・已然)
ば、 接助(順接確定)




「そ 
の 格助(連体修飾)
こと 
に 助動(断定・連用)
候ふ。 動(ハ四・終止)
目 
くるめき、 動(カ四・連用)
枝 
危ふき 形(ク・連体)
ほど 
は、 係助(提示)
己 
が 格助(主格)
恐れ 動(ラ下二・連用)
はべれ 動(ラ変・已然)
ば 接助(順接確定)
申さ 動(サ四・未然)
ず。 助動(打消・終止)
過ち 
は、 係助(提示)
やすき 形(ク・連体)




所 
に 格助(結果)
なり 動(ラ四・連用)
て、 接助(単純)
必ず 
つかまつる 動(ラ四・連体)
こと 
に 助動(断定・連用)
候ふ。」 動(ハ四・終止)
と 格助(引用)
言ふ。 動(ハ四・終止)
あやしき 形(シク・連体)
下﨟 
なれ 助動(断定・已然)
ども、 接助(逆接確定)
聖人 
の 格助(連体修飾)




戒め 
に 格助(対象)
かなへ 動(ハ四・命令)
り。 助動(存続・終止)
鞠 
も、 係助(添加)
難き 形(ク・連体)
ところ 
を 格助(対象)
蹴いだし 動(サ四・連用)
て 接助(単純)
後、 
やすく 形(ク・連用)
思へ 動(ハ四・已然)
ば、 接助(恒時)
必ず 
落つ 動(タ上二・終止)
と 格助(引用)
はべる 動(ラ変・連体)
やらん。 連語


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