Handwriting in the Digital Age

Part 1
広い間隔をあけて並んだ線が引かれた紙を先生から渡されて，A という文字を 50
回書くよう言われた，学校での古きよき日々を恋しく思う人はいませんか？いな
い？私も同じです（恋しくはありません）が，手書きとペンマンシップに学校で多
くの時間を費やし，注意を払ったことに対して感謝しています．アルファベットを書
いて練習したことは，幼い子どもの頃の私にとって，必ずしも楽しいことではありま
せんでしたが，そのような練習をした結果，（自分は）いっそうよくなったのだと心か
ら思います．したがって，学校で手書きのスキルを身につけさせることに対して関心
が薄れ，代わりにキーボードのスキルを向上させることがますます強調されているこ
とを悲しく思います．
誤解しないでください．私はタイピングや PC のスキルを身につけることの重要性
もじゅうぶん認識しています．もし学校でPCスキルをまったく学ばなかったならば，
明らかにこの記事を書くことはずっと困難になっていたでしょうし，私の机の上を占
拠するあの奇妙な箱型の機器とどのように向き合えばよいのかまったくわからなかっ
たでしょう．幸い，そのような状況にありません．私は PC の電源の入れ方や落とし
方がわかりますし，手引きがあれば，ワード・プロセシングのアプリケーション（文
書の作成や編集をするアプリケーション）を使って，原稿をたいてい書いて編集する
ことができます．

Part 2
PC がスペリングにどのように影響を与えるかを考えてみましょう．PC の自動スペ
ル修正機能のおかげで，私たちはもうスペルミスの心配をする必要はありません．ミ
スは自動的に修正されるか，赤い下線で示されます．実際，私のスペリング能力はそ
の影響によって，確実に低下しました．私の恐るべきスペリングを改善するのに役立
つ唯一の方法は，スペルミスをした単語を 3，4 回手書きすることです．目の前に PC
があるときはスペルチェックは有効ですが，PC なしに何かを書かなければならないと
きもあります．
PC はすばらしい道具ですが，書くことに関しては，PC はあなたの進捗を容易に妨
げてしまうのです．これはなぜでしょうか？インターネットです．私は同じウィン
ドウ上に新しいタブを開くことができる，ウェブブラウザの機能が大好きです．SNS
をして，映画を視聴して，オンラインゲームをすることをすべて同時に行えますが，
残念なことに，私のために原稿を自動的に書いてはくれません．PC の前で 7 時間を過
ごしても，私の原稿はまだ書きあげられていませんし，さらに言えば書き始められて
もいません．私にあるのは，画面の左上の自分の名前と，あとはいらいらするほどま
っさらな文書です．そう，PC は便利な道具ですが，便利さには代償が伴うのです．

Part 3
しかし，何かを手書きすることには，PC が引き起こすような欠点がありません．目
の前にノートと鉛筆しかなければ，実際のところ検索エンジンや，あなたが使ってい
るどの SNS にもアクセスすることなどできません．授業のレポートを書かなければな
らないときは，ほとんどの場合，ノートにまずは大まかなメモを，その後に骨子を書
くことから始まります．アイデアを思いつくのに，妨げるものは何もありません．標
準的な長さのレポートを手で書くことはめったにありませんが，ブレインストーミン
グや，すべての引用文やほかの関連性のある情報のリストアップは，すべてノートに
手で行います．ブレインストーミングとなると手書きがとりわけ効果的だということ
がわかり，ブレインストーミングを通じてさまざまなアイデアを思いつき，それらを
結び付けたりグループ分けしたりします．言い換えると，いかなる制約もなく考える
ことができるのです．
それからアイデアをどう発展させ，どうまとめるかを考え始めます．レポート全体
の概要を決めて，初めてキーボードに触ります．レポートにおける最も困難な作業の
すべてがすでに完了しているのです．この過程には時間と労力がかかりすぎると思う
かもしれませんが，これによってアイデアについてより深く考え，レポートをより首
尾一貫させ，うまく構成された内容にすることができるのです．要するに，長い目で
みれば最良の結果をもたらすのです．

Part 4
おそらく多くの人が，手でノートをとることが授業内容を理解して記憶するのに役
立つと，先生が話していたのを覚えているでしょう．それには，これから見るように，
多分に真実が含まれています．最近の研究によれば，手書きは自分が書いたことを記
憶する能力を高めてくれます．2 人の心理学の教授が行った報告には，キーボードで
文字を打つよりも手でノートをとったときのほうが，学生の覚えがよりよかったとあ
りました．彼らは，手で書くことにより，学生はより深く授業内容を処理することが
でき，それがよりよい理解と記憶へとつながっていることを提示しています．鉛筆と
紙を使って書くことは，情報を記憶したいと願うすべての人にとって有益になりうる
のです．ですから，もっと手書きをしてみてはどうでしょうか？
今日の情報技術に起きている急速な変化で，人びとの手書きのスキルは，実際のと
ころ将来低下するかもしれません．しかし，手書きは常に独自の役割を担うことにな
るでしょう．書くというクリエイティブな過程の，楽しく重要な一部になりうるし，
頭脳のトレーニングにもなります．手書きするか，それともキーボードを用いるかと
いう問題ではありません．何を書くか，なぜ書くか，そして誰に書くかに応じて，両
方の利点をうまく生かすべきなのです．