Chocolate: A Story of Dark and Light | STUDY POINT~高校授業編~

Chocolate: A Story of Dark and Light

PRO-VISION

Chocolate: A Story of Dark and Light








Part 1
「10 人のうち 9 人はチョコレートが大好きだと言う.10 人目の人は嘘をついている」
ある有名なフランス人の食通は,こんな冗談を言っています.多くの人はチョコレートが
お菓子の王様であることに同意しています.疲れているとき,休憩したいとき,あなたが
欲しくなるものは,そうです,チョコレートですね! あの豊かな味わい,繊細な食感,
甘い香り……これらのすべてが,あなたがリラックスするのを助ける絶妙のハーモニーを
奏でます.
チョコレートの主な原料はカカオ豆で,主に西アフリカやラテンアメリカ(中南米諸国)
の暑くて湿気の多い地域で生産されます.カカオがチョコレートに,あのすばらしい独特
な味わいをもたらすのです.
チョコレートには,ボンボン(ジャムなどをチョコレートでくるんだお菓子),板チョ
コ,クッキーのようにさまざまな形があります.チョコレート・フォンデュはスイス式デ
ザートです.フルーツやマシュマロのようないろいろな種類のものを溶けたチョコレート
に浸けていただきます.信じがたいかもしれませんが,チョコレートはお菓子だけではあ
りません.モーレ・ポブラーノというチキンに使うメキシコのソースは,チョコレート,
チリ・ペッパー(中南米産唐辛子),トマト,その他の材料でできています.







Part 2
チョコレートの歴史は中央アメリカの古代文化にさかのぼります.その頃のチョコレー
トは苦い飲み物でした.それは,細かく砕いたカカオ豆に水,トウガラシ,トウモロコシ
の粉,その他の材料を混ぜ合わせて作られていました.マヤ族,そしてその後,アステカ
族はチョコレートを聖なる飲み物として考えていました.薬としても用いていました.ア
ステカの社会では,チョコレートは主に支配者層に飲まれていました.また,カカオは貴
重な食べ物だったので,お金としても使われていました.
スペイン人が 16 世紀にアメリカ大陸にやってきたとき,この「チョコレート飲料」に
出会いました.当初,彼らはその苦い味を好みませんでした.しかし,砂糖でこのチョコ
レートを甘くしてから,この飲み物を好むようになりました.この甘いチョコレートはヨ
ーロッパに紹介され,すぐに裕福な人びとの間で人気を博すようになりました.
19 世紀になると,チョコレートは多くの変革を遂げました.バン・ホーテンというオラ
ンダ人がチョコレートの粉末(ココア)の作り方を発見し,このことがチョコレートをよ
り飲みやすいものにしました.その後,イギリスの会社が,板状の「食べるチョコレート」
を作ることに成功しました.この固いチョコレートは大量生産され,普通の人びとの口へ
入るようになったのです.


Part 3
何世紀にもわたって,チョコレートは人びとに愛されてきました.しかし,チョコレー
トの話には,暗い側面もあるのです.16 世紀以降,ヨーロッパで,チョコレートの人気が
高まった結果,さらに多くのカカオがチョコレートを作るために必要になり,スペインや
他のヨーロッパ諸国は,ラテンアメリカにカカオのプランテーションを作って,その地域
の人びとを労働力として使いました.また,それらの国々は何十万ものアフリカの人びと
を,奴隷労働のために自分たちのプランテーションに連れてきました.彼らは後にアフリ
カにもカカオのプランテーションを作り,その地域の人びとをそこで強制的に働かせたの
です.
今日でも,それらのいくつかの地域にはいくつかの問題が残っています.特に深刻な問
題は,プランテーションで働かなければならないため学校へ通えない子どもたちのことで
す.あるカナダ人ジャーナリストは,かつて,こうした子どもたちと,チョコレートをか
じりながら通学する北アメリカの子どもたちの間の途方もない差について,レポートした
ことがあります.実は,プランテーションの子どもたちの多くは,これまでにチョコレー
トを食べたこともなければ,見たこともないのです.







Part 4
チョコレートには 3000 年さかのぼる歴史があり,そのすばらしい風味は長い年月にわ
たって多くの人たちに愛されてきましたが,チョコレートの物語は現在でもなお続いてい
ます.カカオは,チョコレートの主原料であるだけでなく,他の数多くの日用品にも使わ
れています.
リップクリームやボディクリームのようなスキンケア用品を使ったことはありますか.
こうした化粧品のいくつかはココアバターを成分として含んでいます.ココアバターはカ
カオから抽出され,肌を滑らかにするのに効果があります.
カカオから作られた練り歯磨きだってあります.チョコレートを主成分とする練り歯磨
きなんて変だと思うかもしれませんが,カカオに含まれるテオブロミンと呼ばれる物質が
歯を強くするのです.「皮肉なことですが,より健康な歯を作る物質がチョコレートの中に
はあります」と,ある練り歯磨きを作る会社の社長は語っています.
チョコレートやカカオが人間の健康に及ぼす影響に関する研究は,まだ始まったばかり
です.今後さらに新たな進展が期待できるでしょう.チョコレートは,単にお菓子の王様
であるだけではありません.私たちの生活をより良くするための大きな可能性も秘めてい
るのです.



WINDOW 1
フェアトレード・チョコレート
フェアトレード・チョコレートは,児童労働の問題に取り組むものです.フェアトレー
ドの仕組みのもとでは,カカオ農園の生産者と労働者に適正な賃金が支払われます.もし
労働者に適正な賃金が支払われれば,子どもたちは家族を助けるために働く必要はありま
せん.

Summary
Part 1
Many people say that chocolate is the king of sweets. When you need a break, chocolate
helps you to relax. The main ingredient in chocolate is cacao beans. They are produced
mainly in the hot and shumid areas of West Africa and Latin America. Believe it or not,
chocolate isn’t just a sweet. Mole Poblano is a spicy Mexican sauce made with chocolate,
tomatoes and other ingredients.

多くの人がチョコレートがお菓子の王様であると言っています.休憩が必要なとき,
チョコレートはリラックスするのを手助けしてくれます.チョコレートの主原料はカ
カオ豆です.カカオ豆は,主に西アフリカやラテンアメリカの暑くて湿気の多い地域
で生産されています.信じがたいかもしれませんが,チョコレートはお菓子だけでは
ありません.モーレ・ポブラーノは,チョコレート,トマト,その他の材料でできた
香辛料のきいたメキシコのソースです.







Part 2
The history of chocolate goes back to ancient Central America. In those days, chocolate was
a bitter drink. It was considered a sacred drink and also used as a medicine by the Mayas and
Aztecs. In the 16th century, the Spanish changed this drink into a sweet drink by adding sugar.
In the 19th century, Van Houten invented chocolate powder. A British company then
succeeded in making “chocolate to eat” in the form of bars.

チョコレートの歴史は,古代の中央アメリカまでさかのぼります.当時,チョコレー
トは苦い飲み物でした.マヤ族やアステカ族によって,チョコレートは聖なる飲み物
として考えられ,薬としても利用されていました.16 世紀,スペイン人が砂糖を加え
ることによって,この飲み物を甘い飲み物に変えました.19 世紀には,バン・ホーテ
ンがチョコレートの粉末を発明しました.その後,イギリスの会社が,板状の「食べ
るチョコレート」を作ることに成功しました.



Part 3
Chocolate has been loved for centuries but it has a dark side. After the 16th century,
chocolate became more and more popular, and so more cacao was needed. Cacao plantations
were set up in Latin America by European countries. Local people and slaves from Africa
were forced to work there. Today, some of the children who work on cacao plantations can’t
go to school because they must work there.

何世紀にもわたってチョコレートは愛されてきましたが,暗い側面があります.16 世
紀以降,チョコレートの人気がますます高まり,より多くのカカオが必要になりまし
た.ラテンアメリカには,ヨーロッパ諸国によってカカオ・プランテーションが作ら
れました.そこでは,その地域の人びとやアフリカから連れてこられた奴隷が強制的
に働かせられました.今日,カカオ・プランテーションで働く子どもたちの中には,
そこで働かなければならないために,学校に行くことができない子どもたちもいます.







Part 4
The history of chocolate goes back 3,000 years, but the story of chocolate continues to this day.
Cacao is used in everyday products such as lip balm and body cream. They contain cocoa
butter. Even a kind of toothpaste is made with cacao. A substance called theobromine in
cacao can strengthen teeth. Research on the benefits of chocolate and cacao on human health
has just begun.

チョコレートの歴史は,3000 年さかのぼりますが,チョコレートの話は今日まで続い
ています.カカオは,リップクリームやボディクリームのような日用品の中で使われ
ています.それらにはココアバターが含まれています.カカオで作られたタイプの練
り歯磨きさえあります.カカオに含まれるテオブロミンと呼ばれる物質が歯を強くす
るのです.チョコレートやカカオが人間の健康に及ぼす利点に関する研究は,まだ始
まったばかりです.


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