“His Holiness the 14th Dalai Lama” | STUDY POINT~高校授業編~

“His Holiness the 14th Dalai Lama”

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“His Holiness the 14th Dalai Lama”



「私は一介の仏教僧侶である。― それ以上でも,それ以下でもない。」
1 / ダライ・ラマ」という称号は 2 つの言葉を組み合わせたものです。ダライという
語は「海」を意味し,ラマという語は「師」を意味します。「ダライ・ラマ」は,「精
神的に海ほど深く教え導く人」を意味します。ダライ・ラマは如意輪観音の生まれ変
わりだと信じられています。多くの人々がダライ・ラマは何百年もの間,何度も生ま
れ変わっていると信じています。現在のダライ・ラマである 14 世は,世界中で知ら
れています。彼は世界平和と非暴力の指導的提唱者として知られています。
2 / ラモ・トンドゥプは 1935 年 7 月 6 日に,あるチベットの農家に生まれました。
彼らはチベット北東にあるタクツェルという小さな村で暮らしていました。彼は,2
歳のとき,ダライ・ラマ 13 世の生まれ変わりだと認められました。5 歳のとき,ラ
モ・トンドゥプはテンジン・ギャツォに名前を変えて,正式にダライ・ラマ 14 世と
なりました。1950 年には,チベットの政治的権力のすべてを与えられました。それ
は中国がチベットに侵攻した直後のことでした。彼は中国の指導者たちと和平交渉を
行うために中国へ赴きました。しかしながら,すべての交渉がうまくいったわけでは
ありませんでした。1959 年,彼はついに亡命することになりました。それ以来,彼
が住んでいるのはインドのダラムサラです。そこはまた,チベット亡命政府の拠点で
もあります。
「幸福とは出来合いのものではない。自らの行動によって生まれるものである。」


3 / 仏教僧侶として,ダライ・ラマ 14 世は世界中で苦しんでいるすべての人々のこ
とを気遣っています。彼は「すべての苦しみは,無知によってもたらされます」と言
っています。人は自分のことばかり考えていると,他者を傷つけてしまうと,彼は信
じています。しかし,もし利他の心や愛そして慈悲について考えるならば,人は幸せ
になるとも信じています。彼は世界の人々が幸せになる手助けをしようと試みてきま
した。
4 / 1989 年,ダライ・ラマ 14 世はノーベル平和賞を受賞しました。それは,彼がチ
ベット問題を平和的に解決しようと努力したことに対して贈られました。スピーチの
中で彼は,私たちが今日直面している問題は人によって生み出された問題であると言
いました。武力衝突や,貧困,飢餓そして自然破壊のような問題は,力を合わせるこ
とによって解決されうると,彼は考えています。世界中の他のすべての人々とこの地
球を分かち合っていることを私たちは理解する必要があると,彼は考えています。彼
はまた,「私は自身の仏教信仰が,愛や慈悲の心を生み出す助けになっていると感じて
きた」と言いました。彼は,私たちは敵に対して慈悲の気持ちを示すべきだとさえ考
えています。信仰の有無に関わらず,すべての人が思いやりの心と普遍的な責任感を
育むことができるというのが,彼の信念なのです。
「私の信仰はとても簡潔なものだ。私の信仰は思いやりである。」
5 / 2011 年 3 月 10 日,ダライ・ラマ 14 世はチベットの政治指導者としての役割を
退くことを発表しました。彼の決断は,チベット人には自由選挙によって選ばれた指
導者が必要だという,長年抱いてきた信念からなされたものです。




6 / ダライ・ラマ 14 世はいまだにチベット仏教の宗教的指導者です。菩薩の教えに
従って,彼は自身の人生を人類の救済に費やしてきました。彼はこう言います。「毎日,
起きたら考えるのです。『今日も私は幸運にも生きている。かけがえのない人としての
命を授かっている。無駄にはするまい。自らを高めるために,私の心を他者に広げる
ために,生きとし生けるものの恵みに対して悟りを開くために,私の持てる力をすべ
て費やそう。他者に対して思いやりの心を持とう。憤りを覚えたり,他者を悪く思っ
たりすることのないようにしよう。できる限り他者のために尽くそう。』」
7 / ダライ・ラマ 14 世は世界中で多くの政治的指導者や宗教的指導者と会ってきま
した。チベット問題に対しての支援を求めてきました。彼は,人々が抱えるいかなる
個人的また政治的争いに対しても,思いやりと慈悲の心が究極の解決策であるという
信念を分かち合ってきたのです。
「英語を学び世界へはばたけ。これがとても大切である。」


8 / ダライ・ラマ 14 世は 1967 年以来たびたび日本を訪れてきました。彼は,日本
の学生にとって英語の運用能力を高めることがいかに重要であるかを繰り返し述べて
います。彼は「好きであろうとなかろうと,英語は世界共通語です。外国の人々と意
思疎通し,国際社会により貢献するために,英語を学ぶべきです」と言っています。
彼はまた,日本の学生に世界を旅し,もっと世界を見ることを奨励しています。彼は
言っています,「我々がチベットにいたとき,その孤立が好きでした。雪山に囲まれて
いたので,安心していました。他国と関係を築くことが必要であるとわかっていなか
ったのです。日本も海に囲まれていますが,そのような孤立に頼るのは間違いです。」
9 / 「私の世代は 20 世紀に属しています。あなたがた若者のほとんどが,21 世紀に
属しています。過去は過去です。過去から学ぶことはできても,変えることはできま
せん。しかし,未来は今もなお開かれています。未来は作り変えられるのです。進歩
や革新にもかかわらず,20 世紀は暴力の時代であったと,私はしばしば指摘していま
す。皆さんにはより平和な世紀を築く機会があります。争いごとに直面したら,対話
と歩み寄りによって解決すべきです。」



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